1994年 (つながり 115号より)
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(宣長と芭蕉) |
第3回目の今年は、江戸時代の中期から後期に、吉野を訪れた芭蕉と宣長にスポットを当て、 彼等が吉野に入るため最初に踏み入れた峠である細峠・竜在峠という龍門の峠を中心に歩くというコースを設定しました。 |
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(当日の受付風景) |
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午後9時、今年は天候に恵まれ絶好の日和となりました。 毎年この日を楽しみにしてくれている東京の人や今回はアメリカやイギリス・カナダ・ネパール出身の外国の方も参加し、 国際色豊なウォークとなりました。しかし、それ以上に地元龍門を中心に吉野内の参加者が今回多かったのが一番うれしいことでした。 参加者は龍門小学校より全員バスに乗り込み、西谷口よりのスタートとなりました。 今回は306年前に、細峠より吉野に入った松尾芭蕉(峠君・中龍門支部)と、222年前に龍在峠より入った本居宣長(小南君・中龍門支部)を先達として、 参加者は厳しい峠越えのスタートを切りました。 県道桜井線を登った後、いよいよ山道に入ります。途中明治初頭には20件もの人家があったという細峠村跡を抜け、 やっとの思いで参加者は第1ポイントである細峠に到着します。 |
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(峠の茶屋・3人娘) |
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ここの景色は、芭蕉が「雲雀より空にやすらう峠哉」と詠んだことで有名で、急に広がった視界には、正面に大峰釈迦岳。 南西の方角には家並みまでも見える吉野山。そして東には龍門岳が眺望出きるという最高の場所です。 ここでは峠の茶屋を作り、中では当時の着物を着たかわいらしい茶屋娘3人が、長い上り坂で疲れた参加者に、 熱いお茶とおいしいイモ餅(山口コスモス会の協力)と笑顔のサービスがありました。 |
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(講演会風景) |
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又ここで一句という企画には、60人近くの人が思い思いの俳句を詠んでくれました。 この素晴らしい景色の中で昼食をとった後、峠の講演会ということで、花園大学教授の芳井敬郎先生の事前講演があり、 峠の意味合いや吉野と芭蕉・宣長の話をしていただきました。この後参加者は、第2ポイントの竜在峠を目指して出発。 |
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(細峠から龍在峠へ) |
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(龍在峠での関所) |
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第2ポイントの竜在峠では、昔の吉野の入口ということで関所を設けました。 参加者は、検問所の両脇にいる役人(貯木支部の小南君・更谷君)に、受付で貰った通行手形を見せ通過していきます。 関所を越えた一行は、昔栄えた雲井茶屋跡を抜け、第3ポイントの滝畑を目指します。 |
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(旅籠藤屋) |
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滝畑は昔、3件の旅籠があった宿場町であった所で、昔藤屋という名称の旅籠であった藤本さん宅を旅籠風に演出し、 その前で駕籠を担ぐ駕籠かき2人(上市支部竹本君・上西君)は、参加者をかついだり、記念撮影にと大活躍でした。 ここでは、特に滝畑区の皆さん全員による心温まるお茶の接待が、参加者に喜ばれました。 |
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(ゴール風景) |
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最後は志賀を越えてゴールの龍門小学校です。ここでは、婦人部の皆さんによる茶がゆのサービス。郵便局による臨時郵便局。 芭蕉と宣長が辿った吉野のコースを記した展示パネル。今日体験したことが写真と共に記事となった瓦版コーナーなども好評でした。 参加者の中から抽選で吉野の特産品が当たる事もあって、閉会式までほとんどの人が残り、谷口部長の挨拶でフィナーレとなりました。 山道の多い12キロメートルという厳しいコースであったにも拘わらず、帰り際に「ありがとう来年も又来ます。」と言ってくれた何人かの声で、 準備等の苦労が報われた思いでした。 |